障害の種類別ガイド【身体・知的・精神 それぞれの特徴と制度】
障害のある方が利用できる制度は、障害の種類や等級によって異なります。日本の福祉制度では、大きく分けて「身体障害」「知的障害」「精神障害」の3つが定義されており、それぞれに対応する手帳や支援制度が整備されています。
このページでは、厚生労働省の定義と制度をもとに、障害の種類ごとの違いや、具体的な支援内容について詳しく解説します。
身体障害
■ 定義と特徴
身体の一部に永続的な障害がある状態を指します。視覚・聴覚・言語・肢体不自由・内部障害(心臓・腎臓・呼吸器など)など、部位ごとに分類されます。
- 対象手帳:身体障害者手帳
- 判定基準:身体障害者福祉法に基づく等級(1級〜6級)
■ 主な支援制度
- 身体障害者手帳による交通機関の割引(JR・バス・飛行機)
- 補装具費支給(義手・義足・車いすなど)
- 自立支援医療(更生医療)での手術・装具費助成
- 障害年金(初診日と症状によって支給)
参考資料:厚生労働省:身体障害者福祉法の概要
知的障害
■ 定義と特徴
知的能力の発達が平均より遅れており、判断力や社会生活に影響がある状態を指します。生まれつきの障害であることが多く、療育手帳によって認定されます。
- 対象手帳:療育手帳(名称は都道府県により異なる)
- 判定基準:IQ値と適応能力の評価(A〜Cなど)
■ 主な支援制度
- 療育手帳に基づく公共施設・交通機関の割引
- 就労支援(就労継続支援B型など)
- 特別児童扶養手当・障害児福祉手当の支給
- 特別支援学校への就学支援
参考資料:国立障害者リハビリテーションセンター:知的障害について
精神障害
■ 定義と特徴
うつ病、統合失調症、双極性障害、不安障害など、精神的な疾患によって日常生活に支障がある状態です。見た目からはわかりにくく、理解を得るのが難しい場合もあります。
- 対象手帳:精神障害者保健福祉手帳
- 判定基準:診断書・症状による1級〜3級の区分
■ 主な支援制度
- 通院医療費の軽減(自立支援医療・精神通院)
- 障害者雇用枠での就職支援
- 就労移行支援・地域生活支援事業
- 障害年金(特にうつ病や統合失調症の事例が多い)
複数の障害を併せ持つ場合
身体と精神、知的と精神など、複数の障害がある方も少なくありません。その場合、手帳の種類が複数交付されるケースもあります。支援制度の利用にあたっては、最も不自由な状態を基準に支援内容が決定されることがあります。
- 例:身体障害者手帳+精神障害者保健福祉手帳を併用
- 制度によって、手帳種別ごとに優先順位や制限が異なるため、必ず福祉窓口で確認を行うことが重要です。
自分の状態にあった支援を正しく受けるために
障害の種類に応じて、使える制度や必要な書類、受けられるサービスは大きく異なります。「手帳を持っているから全部対象」というわけではありません。各種手当、医療費助成、就労支援などを適切に組み合わせることで、生活の質を大きく改善することが可能です。
ご自身やご家族の障害について、どの制度が使えるか不明な場合は、まずお住まいの自治体の福祉課にご相談ください。地域によって独自の支援制度がある場合もあります。