結婚後の配偶者が突然障害を持つことになる「中途障害」。脳卒中・脊髄損傷・事故・難病など、ある日を境に配偶者の生活が一変します。もう一方の配偶者にとっても、自分の人生が大きく変わる転機です。「これからどう生きていけばいいのか」、答えのない問いと向き合うことになります。
心の整理が先
多くの配偶者が、相手の障害発症直後から「介護者」として動き始めます。リハビリへの付き添い、医療費の手続き、自宅の改修、仕事の調整。やることが山積みで、自分の感情を整理する余裕がありません。
しかし、心の整理を後回しにし続けると、数年後にバーンアウトや配偶者間の関係悪化として表面化します。最初の数ヶ月は混乱期で当然ですが、できるだけ早く「自分の気持ちを整理する時間」を意識的に作ることが重要です。
心の整理を助けるツールとして、信頼できる人(親・友人・カウンセラー)に話を聞いてもらう、日記を書く、同じ立場の家族会に参加する、などがあります。「自分は悲しんでもいい」「混乱していい」と認めることが、最初の一歩です。
経済的な現実への準備
中途障害は、家計に大きな影響を与えます。本人の収入が止まる(または減る)、医療費がかさむ、自宅改修費が発生する、介護者となる配偶者も働き方を変える必要が出てくる。これらを現実的に整理する必要があります。
使える制度として、傷病手当金(健康保険から最大1年6ヶ月)、障害年金(初診から1年6ヶ月後から申請可能)、高額療養費制度、自立支援医療、特別障害者手当などがあります。一気に全部把握する必要はなく、緊急度の高い順に対応すれば充分です。
新しい関係性の作り方
中途障害以前と以後で、夫婦の関係は変わります。「以前と同じであろうとする」のではなく、「新しい関係性を作る」と意識を切り替えることが、長期的には双方にとって楽になります。
具体的には、できなくなったことを嘆くより、新しくできることを探す。一緒にできる楽しみ(映画鑑賞・読書・会話・近所の散歩)を意識的に積み上げる。介護と夫婦関係を分ける(介護中はケア提供者として、それ以外の時間は夫婦として接する)。
先輩家族の声
中途障害を経験した家族の多くが、「最初の1年は地獄、その後は少しずつ慣れる」と振り返ります。「3年経って、新しい日常が形になった」「5年経って、夫婦の関係を再構築できた」という声も。時間がかかるのは普通で、急いで「立ち直る」必要はありません。
明日からできる3つのこと
第1、自分の心を整理する時間を週1回作る。30分でも、自分一人で「今の自分の気持ち」と向き合う時間を確保します。
第2、医療ソーシャルワーカーに相談。入院中の病院に医療ソーシャルワーカーがいれば、退院後の生活設計・利用できる制度・福祉サービスについて専門相談ができます。
第3、同じ立場の家族会を探す。脳卒中・脊髄損傷・難病など、それぞれの障害ごとに患者会・家族会が全国にあります。ネットで検索すれば連絡先が見つかります。