特別障害者手当|月27,980円もらえる申請方法を完全解説、却下理由TOP5と対処法

20歳以上で著しく重度の障害があり、在宅で生活している人がもらえる「特別障害者手当」。月額27,980円(2026年度)が年4回に分けて支給される、公的な現金給付制度です。障害者手帳とは別の制度で、申請しないと1円ももらえません。認知度が低く、対象なのに受給していない人が推計で10万人以上いると言われます。この記事を読んで該当しそうなら、必ず申請してください。

この記事で分かること

  • 自分が対象になるかの判定方法
  • 申請に必要な書類と入手先(各種PDFダウンロードリンク付き)
  • 診断書を書いてもらう時の3つのコツ
  • 申請から振込までの所要期間(目安2〜3ヶ月)
  • 却下される人のTOP5パターンと対処法
  • 所得制限の計算方法(扶養人数別シミュレーション)
  • 不認定だった時の再申請・審査請求の手順

特別障害者手当とは|制度の全体像

特別障害者手当は、1985年に「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」に基づいて創設された、20歳以上の重度障害者向けの公的現金給付制度です。日常生活で常時特別な介護を必要とする重度の障害がある人を経済的に支える趣旨で、障害者手帳・障害年金とは完全に別枠で受給できます。

支給金額と支給日

支給金額は月額27,980円(2026年度)。物価スライド制で毎年4月に金額が見直され、2024年度26,940円、2025年度27,300円、2026年度27,980円と、緩やかに増額傾向にあります。

支給は年4回、各3ヶ月分まとめての振込です。2月10日(11月〜1月分)、5月10日(2月〜4月分)、8月10日(5月〜7月分)、11月10日(8月〜10月分)。土日祝の場合は直前の平日に前倒し。1回あたりの振込額は約83,940円です。

対象者の判定|自分が該当するかチェック

条件1:年齢

20歳以上であること。20歳未満は別制度「障害児福祉手当」(月額15,860円)の対象です。20歳の誕生日で障害児福祉手当から特別障害者手当への切り替え申請が必要(自動切替ではない)。

条件2:障害の程度

「日常生活において常時特別の介護を要する程度の著しく重度の障害」が必要です。次の基準のいずれかに該当する必要があります。

身体障害の場合、おおむね身体障害者手帳1〜2級の重度かつ、日常生活で著しく介護を要する状態。視覚障害1〜2級、聴覚障害2級、上下肢の機能の著しい障害、体幹機能障害、心臓・腎臓・呼吸器・肝臓などの内部障害1級、HIV感染症など。

知的障害の場合、療育手帳A(最重度)に該当する程度。日常生活全般に常時介護が必要な状態。

精神障害の場合、精神障害者保健福祉手帳1級に該当する程度の精神疾患。統合失調症・重度のうつ病・双極性障害・認知症などで日常生活が困難な状態。

重要なのは「日常生活で常時特別な介護を要する」という条件の運用が、手帳の等級判定より厳格に行われる点です。手帳1級でも特別障害者手当が認定されないケースがあります。

条件3:在宅で生活していること

次のいずれにも該当しないこと。第1、社会福祉施設(障害者支援施設・特別養護老人ホーム等)に入所中。第2、病院または診療所に継続して3ヶ月以上入院中。第3、グループホーム入居中も対象外の自治体が多い。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・有料老人ホームは判断が分かれるため、自治体に確認が必要です。

所得制限|あなたは通る?シミュレーション

本人および扶養義務者(配偶者・親など同一世帯)の前年所得が基準額を超えると支給停止になります。所得とは年収ではなく、各種控除後の金額です。

所得制限額(2026年度)

扶養親族の数 本人の所得制限額 扶養義務者の所得制限額
0人 3,604,000円 6,287,000円
1人 3,984,000円 6,536,000円
2人 4,364,000円 6,749,000円
3人 4,744,000円 6,962,000円
4人 5,124,000円 7,175,000円

シミュレーション例

例1、単身者(扶養親族0人)で年収460万円のサラリーマン。給与所得控除約143万円を差し引くと所得約317万円。本人所得制限360万円以下なので通る可能性が高い。

例2、扶養家族2人の世帯主が同居家族。世帯主の年収880万円、給与所得控除約190万円差し引いて所得約690万円。扶養義務者の所得制限約675万円を超えるため、特別障害者手当は支給停止。

例3、年金生活者(扶養親族0人)で年金収入年200万円。公的年金等控除110万円を差し引いて所得90万円。所得制限の範囲内で確実に通る。

申請の完全フロー|8ステップで完了

ステップ1:事前相談(所要時間30分)

お住まいの市区町村役場の障害福祉課に電話で「特別障害者手当の申請を検討している」と伝えます。本人の障害の状態と所得の概況を説明すると、担当者が大まかな受給可能性を教えてくれます。事前相談で「対象外と思われる」と言われても、最終判定は申請後の審査なので、希望があれば申請する権利があります。

ステップ2:申請書類一式の入手(所要時間20分)

窓口で「特別障害者手当認定請求書」と関連書類のセットを受け取ります。多くの自治体ではホームページからPDFダウンロードも可能です。厚生労働省の様式参考は次から確認できます。厚生労働省 特別障害者手当 認定請求書様式(PDF)

同時に必要な書類は、診断書(指定様式・有料)、所得状況届、本人と配偶者の住民票、振込先口座が分かる通帳のコピー、印鑑、本人確認書類、年金証書(障害年金受給中の場合)です。

ステップ3:診断書の取得(所要時間1〜3週間)

診断書は、自治体指定の医師に書いてもらいます。多くの場合、現在の主治医に「特別障害者手当の診断書を書いてほしい」と依頼すれば対応してもらえます。費用は3,000〜10,000円で、自己負担です。診断書は障害種別ごとに様式が異なります(身体障害用、知的障害用、精神障害用、視覚障害用、聴覚障害用)。

ステップ4:所得証明書の取得(所要時間15分・即日発行)

本人と扶養義務者の所得証明書(または課税証明書)を、市区町村の税務課で取得します。手数料は300円程度。マイナンバーカードがあればコンビニのマルチコピー機でも取得可能です。

ステップ5:申請書の記入(所要時間1時間)

認定請求書に必要事項を記入。難しい項目は「障害状況の概要」「日常生活の様子」など。これらは具体的かつ詳細に書くほど審査で有利になります。「歩行困難」ではなく「室内も伝い歩き、屋外は車椅子。トイレ介助・入浴介助が必要」のように、介護の実態が伝わる表現を選びます。

ステップ6:窓口提出(所要時間30分)

すべての書類を持って市区町村の障害福祉課窓口で申請。受付印のある写しを必ず受け取ってください(後の問い合わせで必要)。

ステップ7:審査(所要期間1〜2ヶ月)

市区町村が診断書・所得証明・申請書をもとに審査します。必要に応じて主治医への問い合わせや、本人への追加照会があります。審査期間中に連絡が来た場合、速やかに対応することが認定への近道です。

ステップ8:認定通知と初回振込(所要期間申請月+2ヶ月)

認定された場合、認定通知書が郵送されます。支給は申請月の翌月分から計算され、最初の支給日にまとめて振り込まれます。6月申請→7月認定→8月10日に7月分の振込が典型です。

却下されない診断書の3つのコツ

申請結果は、診断書の記載内容で8割が決まると言われます。次の3つのコツを意識して、主治医に依頼してください。

コツ1:診察前に「困りごとメモ」を渡す

診察時間が短い医師は、患者の日常生活の実態を把握していないことが多いです。次の項目を箇条書きにしたメモを渡してください。第1、起床から就寝までの介護内容(誰が・何を・何回)。第2、外出時の困難(車椅子・付き添い・転倒リスク)。第3、症状の悪化頻度(発作・パニック・幻覚等)。第4、過去6ヶ月の入院・受診履歴。第5、家族構成と介護負担。

コツ2:「日常生活能力の判定」欄を確認

診断書には、食事・着替え・トイレ・入浴・移動などについて「自立」「一部介助」「全介助」を選ぶ欄があります。ここの記載が等級判定に直結します。診断書を受け取ったら、必ず内容を確認してください。実態より軽く書かれている場合、主治医に修正を依頼することが可能です。

コツ3:数ヶ月の経過を見せる

1回の診察だけでは医師は本人の状態を判断しきれません。継続診療している主治医に依頼することが最良で、難しい場合は数ヶ月通院した上で診断書を依頼するのが望ましいです。

却下される人のTOP5パターンと対処法

パターン1:診断書が実態より軽く書かれている(全体の40%)

最も多い却下理由。手帳1級でも「日常生活で常時特別な介護を要する」状態と診断されないと不認定になります。対処法は、診断書の事前確認と、主治医への詳細な状態説明。別医療機関でセカンドオピニオンも選択肢です。

パターン2:所得制限超過(全体の25%)

本人または扶養義務者(同居の親・配偶者)の所得が基準を超えるケース。対処法は、翌年の所得が下がる見込みがあれば再申請、扶養関係の見直し(別世帯への分離)も検討。ただし世帯分離は他の制度にも影響するため慎重に判断。

パターン3:施設入所中・長期入院中(全体の15%)

施設入所中や3ヶ月以上の入院中は対象外。対処法は、退所・退院後に再申請。サービス付き高齢者向け住宅などは自治体により判断が分かれるため、事前確認が重要。

パターン4:必要書類の不備(全体の10%)

診断書の様式違い、所得証明書の年度違い、印鑑漏れなどの形式的な不備。対処法は、申請前に窓口で書類セットをダブルチェック。多くの自治体で「書類預かり再確認」を依頼できます。

パターン5:本人の意思表示・本人申請の問題(全体の10%)

知的・精神障害が重度で本人申請が困難な場合、成年後見人または保護者による代理申請が必要。後見人未選任で代理権が不明確だと申請保留になります。対処法は、成年後見制度の利用を早めに検討。

不認定だった時の不服申立て

申請が却下されても、諦めずに次の手続きを取れます。

第1、審査請求。認定処分に不服がある場合、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内に、お住まいの都道府県知事に審査請求できます。費用は無料、書面で提出します。

第2、再申請。状況が変わった場合(障害の悪化・所得の低下・退院など)、何度でも再申請できます。前回不認定から1年以上空けて再申請するのが一般的です。

第3、社会保険労務士への相談。障害年金・障害者手当の専門社労士に相談すれば、診断書の改善ポイントや再申請戦略をアドバイスしてもらえます。初回相談無料の事務所が多く、成功報酬制で安全に依頼できます。

運営者の経験談

私は精神障害者保健福祉手帳1級と身体障害者手帳2級を保有しています。10代で脳膿瘍から脳梗塞を発症し、現在も左半身麻痺と高次脳機能障害の症状があります。

特別障害者手当は、最初の申請で不認定でした。診断書に「日常生活はおおむね自立」と記載されており、主治医に実態を伝えきれていなかったのが原因でした。再申請にあたり、入浴・トイレ・着替え・外出のそれぞれで必要な介助内容を時間別に書いた「日常生活実態表」を作成し、主治医に渡しました。次回診察で詳しく聞いてもらい、診断書には「日常生活全般に介助を要する状態」と記載されました。結果、認定されて月27,980円の受給が始まりました。

主治医は患者の自宅での様子を見ているわけではないため、外来診察の短時間では実態が伝わりません。書面で詳しく伝えることが、特別障害者手当認定の最大のコツです。

併給可能な制度

特別障害者手当は、次の制度と併給可能です。障害基礎年金・障害厚生年金、障害者手帳に基づく税制優遇(障害者控除・特別障害者控除)、自立支援医療(精神通院・更生医療)、各種障害福祉サービス(訪問介護・短期入所等)、自治体独自の障害者向け給付金。

逆に、次の制度とは併給できないか調整があります。施設入所中の手当、3ヶ月以上の入院中の手当(支給停止)。

不認定でも他に使える制度

特別障害者手当が認定されない場合でも、次の制度は別軸で使えます。第1、障害基礎年金(20歳前傷病の所得制限あり)。第2、障害者控除(所得税27万円・特別障害者控除40万円)。第3、自立支援医療(医療費1割負担)。第4、自治体独自の重度障害者医療費助成。

よくある質問FAQ

Q1:障害者手帳がなくても申請できますか

原則として手帳がなくても申請可能ですが、診断書で「日常生活で常時特別な介護を要する重度の障害」が証明される必要があります。実務上は手帳1〜2級レベルの障害が必要で、手帳未取得の場合は事前に手帳取得を検討するのが効率的です。

Q2:申請から振込までどれくらいかかりますか

申請月から2〜3ヶ月後に初回振込です。6月申請→7月認定通知→8月10日初回振込(7月分)というのが典型的なスケジュール。急ぐ理由がある場合、自治体に事情を伝えて優先審査を依頼できる場合があります。

Q3:過去にさかのぼって受給できますか

原則できません。申請月の翌月分からが対象で、申請しなかった期間の手当はもらえません。「もっと早く知っていれば」というケースが多いため、知った時点ですぐ申請するのが鉄則です。

Q4:認定された後、毎年何か必要ですか

年1回、所得状況届(8月)の提出が必要です。これを忘れると支給が止まります。市区町村から書類が郵送されるので、期限内に返送してください。

Q5:海外居住中も受給できますか

受給者が海外に転出すると支給停止になります。1ヶ月以上の海外旅行・滞在の予定がある場合、事前に市区町村に届け出が必要です。

申請窓口の探し方

申請先はお住まいの市区町村役場の障害福祉課(自治体により名称は「障害支援課」「福祉総合課」など)。お住まいの自治体名+「特別障害者手当」でGoogle検索すれば、担当窓口の電話番号と所在地が表示されます。

主要都市の問い合わせ先の一例。東京都の場合、各区市町村の障害福祉担当窓口が窓口です。都庁では一括対応していないため、ご自身のお住まいの区市町村にお問い合わせください。大阪市の場合、各区役所の保健福祉センター福祉業務担当が窓口です。横浜市の場合、各区福祉保健センター高齢・障害支援課が窓口。

引っ越し直後の場合は、新住所の自治体に申請します。前住所での申請データは引き継がれず、新規申請になります。

参考元(国・公的機関の一次ソース)

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