「ヤングケアラー」は、本来大人がするべき家族介護を、18歳未満の子どもが担っている状態を指します。障害のある親・兄弟姉妹・祖父母のケアを、子どもがしているケースが該当します。厚生労働省の調査では、中学生の約5.7%、全日制高校生の約4.1%がヤングケアラーに該当すると報告されました。
なぜ支援が必要か
ヤングケアラーは「家族思いの良い子」として見えやすい存在ですが、本人にとっては大きな負担です。具体的な影響として、学業の遅れ(宿題の時間が取れない・授業中に居眠り)、友人関係の薄れ(放課後遊べない・部活ができない)、進路への制約(進学を諦める・地元の大学のみ選択)、心理的負担(自分の時間がない・将来への不安)などがあります。
本人は「家族のために当然」と思っていることが多く、自分がヤングケアラーであることに気付いていないケースが大半です。周囲の大人(教員・親戚・近所の人など)が気付くことが、支援への第一歩になります。
2022年以降の支援拡大
2022年、厚労省・文科省が連携して「ヤングケアラー支援推進事業」を本格化。各自治体に専門のコーディネーターが配置され、学校・福祉が連携して支援する体制が整い始めました。具体的には次のような支援があります。
第1、ヤングケアラー専門の相談窓口。都道府県・政令市に「ヤングケアラー支援センター」が設置中。電話・SNSで相談できます。
第2、家事援助・介護サービスの拡充。本人の家族(親・兄弟姉妹)が利用できる障害福祉サービスや介護保険サービスを最大限活用することで、子どもの負担を減らします。
第3、学校での配慮。スクールソーシャルワーカーが介入し、教員と連携して学校生活を支えます。出席や提出物の柔軟な対応、進路相談など。
家族の役割
障害のある家族メンバーがいる家庭では、無意識に子どもがケアの一端を担うことになります。これを完全に避けるのは難しい場合もありますが、次のことを意識することで子どもの負担を減らせます。
第1、子どもをケアの「主要担当」にしない。家事援助・訪問介護・短期入所などの福祉サービスを最大限活用し、子どもには「補助的な手伝い」程度にとどめます。
第2、子どもの時間を守る。学業・部活・友人との時間を優先することを家族で確認します。「ケアを理由に大事な機会を諦めない」がルール。
第3、感謝を言葉にする。子どもの手伝いを当然視せず、「ありがとう、助かるよ」と言葉で伝えます。同時に「無理しないで」「自分の時間も大切に」と伝えます。
明日からできる3つのこと
第1、お住まいの自治体のヤングケアラー支援窓口を検索。「(市区町村名) ヤングケアラー」で検索すれば、相談窓口の情報が見つかります。
第2、家事援助・訪問介護の利用拡大。すでに利用中の場合は時間を増やせるか、未利用の場合は新規申請を検討します。
第3、子の学校のスクールソーシャルワーカーに相談。学校側にも家庭の状況を共有し、配慮を依頼します。