きょうだい児として育った私の人生|自分の選択を取り戻すために

障害のある兄弟姉妹を持って育った「きょうだい児」が大人になった時、ある瞬間に気付くことがあります。「私はずっと、自分のことより家族のことを優先してきた」。子どもの時から「いい子」を続けてきた結果、自分が本当に何を望んでいるのか分からなくなっている、という感覚です。これは多くのきょうだい児が経験することです。

大人になってから始まる課題

きょうだい児の課題は、子どもの時より大人になってから本格化することがあります。具体的には次のような場面で表面化します。

場面1、進路選択。「実家から離れた大学に行きたい」と思っても、「障害のある兄弟姉妹を置いていけない」と諦めるケース。

場面2、結婚。「彼/彼女と結婚したいが、相手や相手の家族にどう説明しよう」「結婚しても兄弟姉妹のことで負担をかけるのでは」と悩むケース。

場面3、出産。「自分の子も障害を持つかも」「障害のある兄弟姉妹を見ているから子育てが怖い」という不安。

場面4、親の老後と「親なき後」。「兄弟姉妹のケアを自分が引き受けることになるのか」という重圧。

あなたには選ぶ権利がある

まず確認すべきこと、きょうだい児には「自分の人生を選ぶ権利」が確実に存在します。法律上、成人したきょうだいに障害のある兄弟姉妹をケアする義務はありません(直系血族・配偶者・同居の親族と違って、兄弟姉妹は扶養義務が限定的)。

「家族なんだから当然」と周りから期待されても、それは社会的な圧力であって法的な義務ではありません。引き受けるかどうかは、あなた自身が選べます。

家族との対話

「自分の人生を生きたい」と決めた時、家族との対話が重要になります。多くの場合、親は「将来のことはあなたに頼めない」と内心思っていても、口に出せずにいます。一方、きょうだい児も「自分は引き受けたくない」と思っていても、罪悪感で言えずにいます。

両者が言葉にしないと、お互いに誤解し続けます。親は「子に頼ることになる」と思い、きょうだい児は「自分が引き受けなければ」と思う。この誤解を解くために、勇気を出して話し合うことが必要です。

3つの選択肢

選択肢1、引き受けない。成年後見人や法人後見、施設入所、グループホームなど、第三者に委ねる選択。きょうだいは「気にかける存在」として関わるが、生活ケアは引き受けない。

選択肢2、部分的に引き受ける。月1回会いに行く、緊急時の連絡先になる、財産管理はする、など限定的な関わり。

選択肢3、フルに引き受ける。同居・成年後見人就任・経済支援などを総合的に引き受ける。

「全部かゼロか」ではなく、自分のキャパシティと家族の状況に応じてグラデーションがあります。

明日からできる3つのこと

第1、自分の本当の気持ちを書き出す。「兄弟姉妹のケアを引き受けたいか」「自分の人生で何を優先したいか」、紙に書き出してみます。誰にも見せないものです。

第2、きょうだい児の会に参加。同じ立場の人と話すことで、自分の感覚が「普通」だと知る経験ができます。

第3、親と1度、本音で話す。「私はあなたの将来をどうしたいと思っている?」「あなたは私に何を期待している?」と聞いてみます。

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