障害者基本法は、日本の障害者施策の根幹をなす最上位の法律です。1970年に「心身障害者対策基本法」として制定され、2011年の大改正で現在の形になりました。すべての障害福祉に関する法律(差別解消法・総合支援法・雇用促進法など)は、この法律の理念を具体化したものです。
3つの基本理念
理念1、社会的障壁の除去。障害は「個人の心身機能の問題」ではなく「社会の側の障壁から生まれるもの」という社会モデルの考え方を採用。バリアフリー化、合理的配慮、情報アクセスなどの整備が国・自治体の責務とされています。
理念2、共生社会の実現。障害の有無で分け隔てられることのない社会を目指す。教育・労働・地域生活のすべての場面で、障害者と非障害者が共に生きることが目標。
理念3、自己決定と社会参加。障害者本人の意思を尊重し、自分の人生を選択できる社会づくり。福祉サービスの利用者ではなく、社会の主体としての権利を保障します。
第4条 差別の禁止
本法律で特に重要なのが第4条(差別の禁止)の規定です。「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」。
「何人も」とは、行政・事業者だけでなく、すべての国民を含みます。つまり、個人レベルの差別行為も法律で禁じられている、という極めて強いメッセージを持つ条文です。
この第4条を具体化したのが「障害者差別解消法」(2024年4月完全義務化)です。事業者の合理的配慮提供義務などはここから派生しています。
この法律から派生した主要法律
派生1、障害者差別解消法。差別禁止と合理的配慮提供義務を具体化。2024年4月から民間事業者も完全義務化。
派生2、障害者総合支援法。福祉サービスの提供根拠。訪問介護・短期入所・就労継続支援などはこの法律に基づきます。
派生3、障害者雇用促進法。法定雇用率の設定、合理的配慮義務、差別禁止規定など、企業の障害者雇用に関するルール。
派生4、障害者虐待防止法。家族・施設職員・使用者からの虐待を通報する義務と窓口を定める。
この法律を知る意義
当事者・家族・支援者にとって、障害者基本法を知ることは「自分にどんな権利があるか」を理解する出発点です。具体的な制度(年金・福祉サービス)は別の法律で定められていますが、それらすべての根底にある「障害者は何人にも差別されない権利を持つ」「社会のバリアを取り除く責任は社会の側にある」という思想を知ることで、自分の権利を堂々と主張できるようになります。