障害のある子を持つ親が、もう一つ直面する難題が「祖父母との関係」です。祖父母世代は障害への理解が現在の知見と異なることが多く、「もっと厳しくしつければ治る」「私の育て方が悪かったのよ」など、悪気のない言葉が親を深く傷つけます。
なぜすれ違うのか
祖父母世代(60代後半〜80代)が子育てしていた時代は、発達障害や自閉症の概念が一般的ではありませんでした。「個性」「躾の問題」「育て方の問題」として処理されていたケースが多く、「医療的な障害」という枠組み自体が新しいものです。
このため、祖父母は良かれと思って「もっとこうすれば治る」とアドバイスしますが、その内容は古い世代の常識に基づくもの。悪気はないのですが、現代の障害理解とはずれているため、親世代を苦しめてしまいます。
よくある3つのパターン
パターン1、「躾の問題」と決めつける祖父母。子の特性を理解せず、「もっと叱れば治る」「親が甘いから」と親を責める。これが続くと、親は祖父母との距離を置かざるを得なくなります。
パターン2、「私のせい」と自分を責める祖父母。「私の血筋に問題があったのかも」「私の育て方が悪かったのかも」と自分を責め、結果的に親が祖父母を慰める役割になり、親の負担が増えます。
パターン3、過干渉な祖父母。「専門医ではなく◯◯療法を試すべき」「あの病院に行きなさい」と次々と提案し、親の判断を尊重しない。親の自律性が損なわれます。
対話の3つのコツ
コツ1、医学的な情報を共有する。発達障害・自閉症などの正確な情報を、医師の説明資料や信頼できる書籍を通じて祖父母に共有します。「専門家がそう言っている」という第三者の権威が、祖父母の理解を進めやすくします。
コツ2、「あなたを責めていない」と伝える。祖父母が「自分のせい」と感じている場合、「誰のせいでもない」「医学的にはこういう原因」と明確に伝えます。罪悪感は対話を阻害します。
コツ3、役割を明確にする。「子のケアの判断は親(自分)がする。祖父母にはこういう形で関わってほしい」と明確に伝えます。具体的な役割(月に1回遊びに来る、土曜日の昼食を作る等)を提案すると、祖父母も関わり方が分かりやすくなります。
距離を置く判断も時には必要
すべての祖父母が理解者になれるわけではありません。何度説明しても変わらない、親を傷つける言動が続く場合、物理的・心理的な距離を置く判断も必要です。家族関係の維持より、親の心の健康と子のケアが優先です。
「祖父母とうまくやらなければ」というプレッシャーから自分を解放することも、長期的には家族全体の幸せに繋がります。
明日からできる3つのこと
第1、信頼できる障害理解の資料を1冊選ぶ。書籍やパンフレットを祖父母に渡します。直接話すより、文字情報の方が伝わることがあります。
第2、医師の診察に祖父母を同席させる。可能であれば、年1回でも医師から祖父母に直接説明してもらいます。第三者の専門家の言葉は説得力があります。
第3、自分の境界線を決める。「祖父母から受け入れられる関わり方・受け入れられない関わり方」をリスト化し、線引きを明確にします。