経管栄養・喀痰吸引・人工呼吸器の管理など、日常的に医療的ケアが必要な子を「医療的ケア児」と呼びます。全国に約2万人の医療的ケア児がいると言われ、その家族(特に母親)は24時間体制のケアで心身ともに疲弊しがちです。家族が崩れないための仕組みを早めに整えることが、子の長期的な生活を守ります。
家族の現状
医療的ケア児の母親の多くが、慢性的な睡眠不足を抱えています。夜間も2〜3時間ごとに痰の吸引や体位変換が必要で、まとまった睡眠が取れません。仕事を辞めざるを得ない母親が大半で、経済的負担も重くなります。
父親も無関係ではなく、共働きが難しくなる、休日も家族のサポートに追われる、夫婦の会話時間が激減するなど、家族全体への影響は大きいです。
2021年医療的ケア児支援法
2021年9月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行されました。これにより、国・自治体が医療的ケア児を支援する責務を負うことが明確化され、各地に「医療的ケア児支援センター」が設置されました。
具体的な変化として、保育園・学校での看護師配置が進み、医療的ケア児が地域の保育園・学校に通える可能性が広がっています。「うちの子は受け入れてもらえないだろう」と諦めず、最新の状況を確認することが重要です。
家族の負担を分散する仕組み
仕組み1、訪問看護。看護師が自宅を訪問し、医療的ケアを実施。1回30分〜1時間、週数回の利用が一般的です。医療保険・健康保険でカバーされ、自己負担は低めです。
仕組み2、短期入所(医療型)。医療的ケアに対応した施設で、数日間預けるレスパイト。家族の旅行・冠婚葬祭・休息のために使えます。利用できる施設は限られるため、平時から登録しておくことが大切。
仕組み3、訪問介護・居宅介護。医療的ケアではない部分(入浴介助・食事介助・家事援助など)を、ヘルパーに依頼。母親の負担が物理的に軽減されます。
仕組み4、医療的ケア児支援センター。お住まいの都道府県に設置されており、医療・福祉・教育の総合相談ができます。「どの制度を使えばいいか分からない」時の最初の相談先として活用してください。
明日からできる3つのこと
第1、お住まいの都道府県の医療的ケア児支援センターに電話。家族の現状を伝え、利用できる制度の整理を依頼します。
第2、訪問看護ステーションの空き状況を確認。地域の訪問看護ステーションに「医療的ケア児に対応可能か」を問い合わせます。複数あたると確実です。
第3、家族の休息計画を作る。「今月は1日、母親に休んでもらう」と具体的な日を決め、その日の代替ケア体制(短期入所・訪問看護・父親の休暇など)を組みます。
あなたの休息は、子の未来を守る
多くの母親が「自分が休むのは申し訳ない」と感じます。しかし、母親が倒れたら、家族全体が崩れます。休息は贅沢ではなく、長期的なケアを続けるための必須投資です。「休むことが、子のために」と意識を切り替えてください。