就労継続支援A型・B型の違い|月給平均8.3万vs1.7万、自分に合うのはどっち

就労継続支援は、一般企業での就労が困難な障害者が、支援を受けながら働ける福祉サービスです。雇用契約のあるA型と、雇用契約のないB型に分かれます。A型は平均月給83,000円・最低賃金保障・社会保険加入。B型は平均工賃17,000円・体調に応じた柔軟な働き方。どちらも障害年金との併給可能で、長く働き続けることを目的としています。

この記事で分かること

  • A型とB型の制度的な違い(雇用契約・賃金・社会保険・対象)
  • 平均賃金の最新データ(厚労省2024年度実績)
  • 自分に合うほうを選ぶ3つの判断軸
  • 利用までの完全フロー(受給者証取得→事業所見学→契約)
  • 事業所選びの3つのコツ
  • A型からB型へ、またはB型からA型への移行
  • 障害年金との併給は問題ないか
  • 就労継続支援から一般就労へ進む道筋

A型(雇用契約あり)の詳細

A型は、事業所と雇用契約を結んで働く形態です。労働基準法・最低賃金法が適用され、賃金は地域の最低賃金以上が保障されます。

対象者

一般企業での就労が困難だが、雇用契約に基づく就労が可能な障害者。原則18歳〜65歳未満。身体・知的・精神・難病など、障害種別を問わず利用できます。

賃金

2024年度の全国平均月給は83,551円(厚生労働省調査)。最低賃金保障があるため、地域差がそのまま反映されます。東京都内で月8〜10万円、地方で月7〜8万円が一般的。年収にすると約100万円程度になります。

働く時間

1日4〜6時間、週20〜30時間が標準。フルタイム(週40時間)の事業所は少数で、多くは「働きすぎないペース」を意識した設計です。

仕事内容

事業所により多岐にわたります。代表例は、軽作業(部品組立・梱包)、清掃、パン製造・カフェ運営、Webデザイン・Webライティング、データ入力・事務作業、農作業、清掃・洗濯。事業所が自社で受注した仕事を、利用者が分業して行います。

社会保険

週20時間以上勤務、月収一定額以上などの条件を満たせば、雇用保険・健康保険・厚生年金保険に加入可能です。これにより、ハローワークの失業給付や、厚生年金部分の加算が受けられます。

B型(雇用契約なし)の詳細

B型は、雇用契約のない「福祉的就労」です。労働基準法は適用されず、最低賃金の制限もありません。その代わり、体調や生活ペースに完全に合わせた柔軟な働き方ができます。

対象者

雇用契約に基づく就労が難しい人。年齢制限なし(65歳以上でも利用可)。具体的には、体調の波が大きい、長時間労働が困難、まず働く生活リズムを取り戻したい、リハビリ的に働きたい、という人が利用しています。

工賃(給与にあたるもの)

2024年度の全国平均月工賃は17,031円(厚生労働省調査)。これは平均で、事業所による差が大きく、月3,000円程度の事業所から月5万円以上の事業所まで幅があります。最低賃金の保障はなく、作業量・成果物の納品量に応じた支払いが基本です。

働く時間

柔軟で、1日1〜2時間、週1〜2日からスタート可能。慣れてきたら徐々に増やし、最終的に1日5〜6時間、週5日通うパターンが多いです。

仕事内容

A型と似た範囲ですが、納期や品質基準が緩めに設定されることが多いです。手工芸品の製作、農産物の加工、清掃、軽い組立作業、内職的な作業など。事業所と利用者の能力・体調を考慮して選択されます。

A型とB型の比較表

項目 A型 B型
雇用契約 あり なし
最低賃金保障 あり なし
平均月収/月工賃 83,551円 17,031円
労働時間 1日4〜6時間 1日1〜6時間(柔軟)
社会保険 条件達成で加入 原則なし
年齢制限 原則18〜65歳未満 制限なし
対象障害 就労可能な障害者 就労が難しい障害者
体調変動への対応 限定的 大きく対応
障害年金との併給

自分に合うほうを選ぶ判断軸

判断軸1、体調の安定性

体調の波が小さく、毎日同じ時間に通えるならA型。波が大きく、休みがちになるならB型から始めるのが現実的。B型で生活リズムを整えてから、A型にステップアップする道筋もあります。

判断軸2、収入の必要性

生活費の足しが必要なら、月8万円稼げるA型が現実的。家族と同居していて生活費の心配がないなら、B型でも十分。障害基礎年金1級(月約8万円)+B型工賃(月1〜2万円)で生活する人もいれば、A型8万円+年金で月16万円程度稼ぐ人もいます。

判断軸3、将来の方向性

一般就労を目指すなら、雇用契約の経験が積めるA型がおすすめ。生活訓練・社会参加が目的ならB型でも十分。「将来は障害者枠で一般企業に就職したい」場合、A型→就労移行支援→一般就労、という流れが多いです。

利用までの完全フロー

ステップ1:市区町村の障害福祉課で相談(所要時間30分)

「就労継続支援A型(またはB型)を利用したい」と伝えます。担当者から制度説明と利用までの流れを確認します。

ステップ2:障害支援区分の認定調査(所要時間2〜4週間)

調査員が自宅訪問または窓口で、生活状況・支援必要度を聞き取り調査。すでに障害支援区分の認定がある場合はスキップ。

ステップ3:事業所の見学・体験(所要時間2〜4週間)

気になる事業所を複数(3〜5箇所が目安)見学。多くの事業所が1日体験・1週間体験を受け入れています。雰囲気・仕事内容・通いやすさ・スタッフとの相性を確認します。

ステップ4:事業所と契約(所要時間1〜2週間)

合うと感じた事業所と利用契約を結びます。1事業所のみ契約することが多いですが、原則として複数契約も可能です。

ステップ5:相談支援専門員とサービス等利用計画作成(所要時間2〜4週間)

計画書には、週何日・何時間通うか、目標、必要な支援内容を盛り込みます。

ステップ6:市区町村の支給決定(所要時間2〜4週間)

受給者証が交付されます。これでサービスが正式に利用可能になります。

ステップ7:通所開始

最初は週2〜3日から始めるのが推奨。徐々に通所日数を増やす形が体に負担をかけません。

事業所選びの3つのコツ

コツ1、複数の事業所を見学する

1箇所だけでは比較ができません。同じA型でも、事業所により雰囲気・仕事内容・賃金水準が大きく異なります。3〜5箇所の見学を経て、納得できる事業所を選んでください。

コツ2、過去の一般就労実績を確認

A型・B型から一般就労へ進む人がどれくらいいるかを聞きます。実績のある事業所はサポート体制がしっかりしている傾向です。

コツ3、スタッフとの相性

毎日関わる相手なので、相性が大事です。「この人なら相談できる」と思えるスタッフがいる事業所を選びます。最初の見学時に、スタッフの対応・表情・話しやすさをチェック。

移行と退所

B型からA型へのステップアップ

B型で生活リズムが整い、長時間労働が可能になったら、A型に移行できます。同じ事業所内でB型→A型の昇格制度を持つ事業所もあります。市区町村の支給決定変更が必要です。

A型から一般就労へ

A型での就労経験が一般就労の基盤になります。雇用契約・社会保険・職場でのコミュニケーション経験を積めるためです。一般就労を本格的に目指す場合、就労移行支援(別記事で詳述)に移ることもおすすめです。

合わない事業所を辞めたい時

契約解除は自由です。次の事業所を探す間、何も使わない期間があっても問題ありません。

障害年金との併給は問題ないか

就労継続支援A型・B型での収入は、障害年金の停止理由になりません。福祉的就労として位置づけられているため、「働けるから年金停止」とはなりません。

ただし、再認定(等級更新)の際、就労状況が等級判定に影響することはあります。特に精神障害の場合、診断書に「就労できている」と書かれると等級が下がる可能性があります。診断書記入時には、就労状況の実態(配慮を受けながらの短時間労働など)を主治医に詳しく伝えることが重要です。

運営者の経験談

私は左半身麻痺と高次脳機能障害で、長時間の集中作業が難しい状態です。20代前半はB型に通い、月工賃約12,000円を得ながら、生活リズムと社会参加を取り戻しました。その後、体調が安定してA型に移行し、月給約7万円を得る期間がありました。

現在は在宅でブログ運営・ライティングで月数万円〜十数万円を稼いでいますが、A型・B型での経験が「働く感覚」を再構築するのに役立ちました。「いきなり一般就労」では潰れていたと思います。段階的に進む選択肢があったことが、長期的に働き続ける基盤になりました。

よくある質問FAQ

Q1:A型とB型を同時に利用できますか

原則として同時利用はできません。どちらか一方を選びます。ただし、複数のA型事業所を併用すること(午前A事業所、午後B事業所など)は自治体判断で可能な場合があります。

Q2:利用料(自己負担)はかかりますか

所得に応じて月の負担上限が決まります。生活保護世帯・住民税非課税世帯は0円、それ以外も月最大9,300円が上限。多くの利用者は0円〜数千円で利用しています。

Q3:65歳になったらどうなりますか

A型は原則65歳未満が対象なので、65歳到達で利用継続ができなくなる場合があります。B型は年齢制限がないので継続可能。65歳以降は介護保険サービスへの移行も検討します。

Q4:途中で休むことはできますか

体調不良などで休むことは普通に許容されます。ただし長期欠席(数ヶ月)が続くと、支給決定の見直しがあるケースがあります。

Q5:仕事内容を変えてもらえますか

事業所内で複数の仕事がある場合、ローテーションや変更が可能なことが多いです。「この仕事は合わない」と感じたら、スタッフに相談してください。

申請窓口の探し方

窓口は、お住まいの市区町村役場の障害福祉課。「(市区町村名) 就労継続支援」でGoogle検索すれば、お住まいの地域の事業所一覧と窓口情報がヒットします。事業所選びにあたっては、相談支援事業所(計画相談支援)にも相談すれば、地域の事情に詳しい情報がもらえます。

参考元(公式情報)

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