障害年金の等級認定と再認定|診断書の書き方で等級が変わる、不支給を覆す不服申立て

障害年金の申請をしたものの「思っていた等級と違う」「不支給だった」という声は珍しくない。実は、等級判定の最大の要因は医師の診断書の内容だ。

同じ症状の人でも、診断書の書き方ひとつで1級と2級、2級と非該当が分かれることが現実に起きている。診断書の重要性とその対策を解説する。

等級判定の3つの要素

  1. 診断書(医師が記入)
  2. 病歴・就労状況等申立書(本人が記入)
  3. 受診状況等証明書(初診の医療機関が記入)

このうち、診断書の内容が判定の8割を占めると言われる。本人の主観的な訴え(申立書)よりも、医師の客観的な記載が重視される。

診断書で重要な記載項目

身体障害の場合

  • 関節可動域・筋力
  • 歩行能力
  • 視力・視野
  • 聴力
  • 言語機能
  • 内部障害の検査値(腎機能・心機能等)

精神障害の場合

  • 日常生活能力の判定(7項目を5段階で評価)
  • 日常生活能力の程度(5段階)
  • 就労状況
  • 現症時の所見

精神障害は数値で客観評価できる項目が少ないため、医師の主観的判断の比重が大きい分野だ。診断書記載前に主治医とのコミュニケーションが特に重要になる。

精神障害の日常生活能力判定

精神障害の場合、日常生活能力を以下の7項目で5段階評価する。

  1. 適切な食事
  2. 身辺の清潔保持
  3. 金銭管理と買い物
  4. 通院と服薬
  5. 他人との意思伝達及び対人関係
  6. 身辺の安全保持及び危機対応
  7. 社会性

各項目を「できる」「自発的にできるが援助が必要」「援助があればできる」「援助があってもできない」「全くできない」の5段階で評価。平均点が等級判定の重要な指標となる。

主治医との伝え方

診察時に主治医が把握しているのは、診察室での短時間の様子だけ。実際の家での状態を主治医は知らないため、本人や家族が日常生活の困難を具体的に伝える必要がある。

伝えるべき具体例

  • 「食事の準備ができず、コンビニ弁当ばかり」(食事項目)
  • 「入浴は週1回がやっと、髪は2週間洗っていない」(清潔保持)
  • 「通帳の管理ができず、家族に任せている」(金銭管理)
  • 「電車に乗ろうとするとパニックになり外出できない」(対人関係・社会性)
  • 「家事ができず、寝込んでいる時間が大半」(社会性)

「困っている」「つらい」では伝わらない。何ができないか、誰が助けているかを具体的に伝えること。

再認定の仕組み

障害年金は一度受給が決まっても、1〜5年ごとに「再認定」がある。診断書を提出し、障害状態を再度審査される手続きだ。

  • 再認定の頻度は等級と障害の種類により異なる
  • 診断書の内容次第で、等級が上がる・下がる・支給停止になることがある
  • 症状が改善している場合は等級が下がるのは正当な判定
  • 症状が変わらないのに等級が下がるケースは「診断書の書き方」が原因のことが多い

再認定で等級が下がる典型パターン

就労状況の記載

「就労中」と記載されると、軽症と判断されやすい。実際は障害者雇用・短時間勤務・特別な配慮を受けているなら、その事実を主治医に伝えて診断書に反映してもらうこと。

日常生活能力の改善判定

本人が「最近少し良くなった」と話したことが、診断書で「自発的にできる」と評価されると等級が下がる。良い面より困っている面を伝えることが大切だ。

主治医の交代

主治医が変わると、新しい主治医はこれまでの病歴を完全には知らない。長期間続く症状や日常生活の困難を、改めて詳しく伝える必要がある。

不服があるときの3段階

1. 審査請求

結果通知から3か月以内に「審査請求」を提出する。地方厚生(支)局の社会保険審査官が再審査する。

2. 再審査請求

審査請求が認められない場合、2か月以内に「再審査請求」を提出。社会保険審査会が審査する。

3. 行政訴訟

再審査請求も認められない場合、6か月以内に行政訴訟。弁護士が必要になり、ハードルは大きく上がる。

不服申し立ては成功率が低いため、最初の申請時に万全の準備をすることが何より重要だ。

受給率を上げる4つのコツ

1. 日常生活の困難をメモする

日々の困難を1日1行でもメモしておくと、診察時に主治医に具体的に伝えられる。記憶だけでは細部が抜け落ちる。

2. 家族に同行してもらう

本人が日常生活の困難を客観的に話すのは難しい。家族が「実際の家での状態」を主治医に伝えると、診断書の内容が現実に即したものになる。

3. 病歴・就労状況等申立書を丁寧に書く

診断書と矛盾しない範囲で、日常生活の困難を時系列で書く。社労士のテンプレートを参考にすると、構成のヒントが得られる。

4. 社労士に依頼する

不支給リスクが高いと感じる場合、障害年金専門の社労士に依頼することで等級認定の確率が大きく上がる。費用は決定後の年金数か月分が相場だ。

この記事の次にやること

申請前の人は、診察時に主治医に「障害年金を申請したいので、診断書を書いてほしい」と早めに相談する。診断書作成には数週間かかる。

受給中で再認定が近い人は、現在の症状と日常生活の困難を主治医に詳しく伝える。本人と家族の両方からの説明があると、診断書の内容が充実する。

不服がある場合は3か月以内が審査請求のリミット。期限を過ぎると不服申し立てができなくなるため、早めに判断すること。

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