障害者控除は、年間4万〜10万円の節税効果がある制度だ。手帳を持っている人にとって、確定申告で必ず申請すべき項目のひとつ。
ただし「特別障害者」「同居特別障害者」の判定を間違える人が非常に多い。区分を間違えると年間で数万円の差が出る。
控除額の3区分
| 区分 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 一般の障害者 | 27万円 | 26万円 |
| 特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 | 53万円 |
特別障害者に該当する人
- 身体障害者手帳1級・2級
- 精神障害者保健福祉手帳1級
- 療育手帳A(自治体により最重度・重度)
- 常に就床を要し、複雑な介護を要する人
- 精神上の障害で事理を弁識する能力を欠く常況にある人
- 戦傷病者手帳の特別項症から第3項症
一般の障害者に該当する人
- 身体障害者手帳3級〜6級
- 精神障害者保健福祉手帳2級・3級
- 療育手帳B(中度・軽度)
- 65歳以上で市町村長等の認定を受けた人
同居特別障害者の判定がポイント
同居特別障害者とは、特別障害者である扶養親族または配偶者が、納税者本人またはその配偶者・生計を一にする親族と同居している状態を指す。
「同居」は単に住民票が同じだけでは認められない。「同居を常況としている」こと、つまり生活の本拠が同じであることが条件だ。
判定が割れるケース
- 施設入所中 → 同居判定が崩れる可能性
- 長期入院中 → 状況により同居と認められる場合あり
- 住民票は同じだが実態は別居 → 同居と認められない可能性
どれくらい税金が安くなるか
年収400万円・一般障害者の場合
所得税で約13,500円(27万円×5%)、住民税で約26,000円(26万円×10%)、合計で約4万円の減税になる。
年収400万円・特別障害者の場合
所得税で約2万円、住民税で約3万円、合計約5万円の減税。
年収400万円・同居特別障害者の場合
所得税で約3.75万円、住民税で約5.3万円、合計約9万円の減税。
年収が高いほど所得税率が上がるため、節税効果は大きくなる。年収700万円超なら所得税率20〜23%が適用され、控除額の数倍が節税につながる。
申告手順
1. 書類を揃える
- 障害者手帳のコピー(または市町村長等の認定書)
- 源泉徴収票(給与所得がある場合)
- マイナンバーカード(e-Tax申告の場合)
- 還付金の振込先口座情報
2. 確定申告書を作成
国税庁の確定申告書等作成コーナーが一番簡単だ。画面の指示通り入力するだけで自動計算してくれる。所得控除の入力画面で「障害者控除」を選び、本人・配偶者・扶養親族のうち該当する人数と区分を入力する。
3. e-Taxまたは郵送で提出
マイナンバーカードがあればe-Taxが便利。還付金の振込もe-Tax経由のほうが早い傾向がある(平均2〜3週間)。
よくある申告ミス
年末調整での申告漏れ
会社員は年末調整時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で障害者控除を申告できる。申告し忘れたら、翌年の確定申告で取り戻せる。
過去の申告漏れを放置している
過去5年分まで遡って「更正の請求」が可能。当時の障害者手帳や源泉徴収票を用意して税務署で手続きすれば、過去分の還付金が受け取れる。
要介護認定だけでは対象外
介護保険の要介護認定だけでは障害者控除の対象にならない。65歳以上で身体障害者等に準ずる状態として、市町村長等から「障害者控除対象者認定書」の交付を受ける必要がある。
複数の手帳がある場合
身体・療育・精神の手帳を複数持っているなら、最も有利な区分で判定してよいというルールがある。等級の組み合わせを確認しておくこと。
家族の障害者控除も忘れずに
扶養親族や同一生計配偶者が障害者の場合も、納税者本人の所得から控除できる。例えば配偶者と子が共に特別障害者なら、40万円×2人=80万円の控除になる。
16歳未満で扶養控除の対象外の子でも、障害者控除は適用可能だ。「16歳未満だから何も控除がない」と思って申告しないと損する。
参照する公式情報
この記事の次にやること
会社員の人は、今年の年末調整で申告書に必ず障害者控除を記入する。記入欄を見落とすと適用されない。
自営業・フリーランスの人は、確定申告書等作成コーナーで「障害者控除」の入力画面まで進み、該当区分を選択する。これだけで数万円の節税が確定する。
過去に申告漏れがあるかもしれない人は、税務署または税理士に相談して5年分の更正の請求を検討する。過去分の還付金は決して少額ではない。