体に合わせて使う「補装具」と違って、生活全般を助ける「日常生活用具」は、もっと種類が広い。特殊寝台、入浴用リフト、点字器、ストマ装具、頭部保護帽、震災時のためのヘルメット…。
これら障害者の日常生活を支える用具を、市区町村が原則1割負担で給付してくれる制度がある。
日常生活用具給付制度の概要
- 障害者の日常生活を支援する用具を給付
- 原則として用具の購入費の9割を公費負担、自己負担は1割
- 所得に応じて月額負担上限額あり
- 対象品目・支給上限額は市区町村ごとに設定
- 住宅改修費の助成も対象になることが多い
対象になる人
- 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の所持者
- 難病等対象者(対象疾病あり)
- 用具によって対象となる障害種別・等級が異なる
主な対象品目
介護・訓練支援用具
- 特殊寝台(電動ベッド)
- 特殊マット(床ずれ防止用)
- 体位変換器
- 移動用リフト
- 訓練いす・訓練用ベッド
自立生活支援用具
- 入浴補助用具(シャワーチェア・浴槽手すり等)
- 便器(差込便器・自動排泄処理装置)
- 頭部保護帽(てんかん発作等の保護用)
- 特殊便器
- 火災警報器・自動消火器
在宅療養等支援用具
- 透析液加温器
- ネブライザー(吸入器)
- 電気式たん吸引器
- 酸素ボンベ運搬車
- 盲人用体温計・体重計
情報・意思疎通支援用具
- 点字器・点字タイプライター
- 視覚障害者用ポータブルレコーダー
- 視覚障害者用拡大読書器
- 聴覚障害者用屋内信号装置
- 携帯用会話補助装置
- 情報・通信支援用具(パソコン周辺機器、アプリ等)
排泄管理支援用具
- ストマ装具(消化器用・尿路用)
- 紙おむつ等(常時失禁状態にある人)
- 収尿器
住宅改修費
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑り防止のための床材変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器取替え
自治体ごとに違う内容
日常生活用具は「地域生活支援事業」に位置づけられ、各自治体が対象品目・支給上限額・耐用年数を独自に設定している。隣の自治体では給付されるのに、自分の自治体では対象外、ということが普通に起こる。
東京都(各区市町村)
特殊寝台、入浴補助用具、頭部保護帽など幅広く対象。耐用年数を超えれば再給付可能。
大阪府(各市町村)
東京と同様に幅広く対象。市町村により対象品目に若干の違いがある。
地方の小規模自治体
対象品目が絞られているケースが多い。希望品目が対象になっていない場合、自治体に相談すれば追加可能なケースもある。
住んでいる市区町村の障害福祉課で、対象品目一覧表をもらうこと。
所得制限と月額上限
| 世帯所得区分 | 月額上限額(目安) |
|---|---|
| 生活保護世帯 | 0円 |
| 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 市町村民税課税世帯 | 37,200円 |
| 市町村民税所得割46万円以上 | 対象外(全額自己負担) |
所得区分は補装具費支給制度とほぼ同じだ。
申請の流れ
1. 市区町村の障害福祉課に相談
希望する用具と、それが対象品目に含まれているかを確認する。
2. 業者から見積書を取得
市区町村が指定する業者(または自由選択)から見積書を取る。
3. 申請書類を提出
- 日常生活用具給付申請書
- 業者の見積書
- 障害者手帳
- 医師の意見書(品目により必要)
- 所得証明書
- マイナンバーがわかる書類
4. 給付決定通知が届く
審査後、給付決定通知書が郵送される。申請から決定まで2週間〜1か月程度。
5. 用具の購入・受け取り
業者から用具を受け取り、自己負担額(原則1割、上限内)を支払う。
住宅改修費の活用
住宅改修も日常生活用具給付制度の対象になることが多い。手すりの取付けや段差解消などで、上限20万円程度まで助成が出る(自治体による)。
介護保険の住宅改修費との併用に注意。介護保険給付対象者は、まず介護保険を使った後の不足分を障害福祉が補完する形になる。
注意点
申請前の購入は対象外
申請前に用具を購入してしまうと、給付対象にならない。必ず申請→決定通知→購入の順番で進めること。
耐用年数
各用具に耐用年数が設定されている。耐用年数経過前の買い替えは原則として対象外だ。
所得確認
世帯の所得により自己負担が変わる。所得が高い場合は対象外になることもあるため、事前に自治体窓口で確認すること。
この記事の次にやること
「これがあれば生活がもっと楽になるのに」と思う用具があるなら、まず市区町村の障害福祉課に問い合わせる。対象品目に含まれているかが分かる。
住宅改修を考えている人は、改修工事に着工する前に必ず申請を済ませる。工事完了後の申請は対象外になる。