障害者手帳を持っていれば、税金の控除、公共料金の割引、医療費の助成など数十の支援制度が使えるようになる。逆に手帳がないと、本来受けられる支援が受けられないままになる。
3種類の手帳の取得方法を、それぞれ整理する。
3種類の手帳
身体障害者手帳
視覚・聴覚・言語・肢体不自由・内部障害(心臓・腎臓・呼吸器等)の永続的障害がある人が対象。等級は1級〜6級(7級は手帳交付なし、ただし内部障害との重複で対象)。
療育手帳
知的障害がある人が対象。自治体により「愛の手帳」「みどりの手帳」など名称が異なる。等級は自治体により異なり、A1・A2・B1・B2、最重度・重度・中度・軽度などの区分。
精神障害者保健福祉手帳
統合失調症・気分障害・てんかん・発達障害等の精神疾患により、長期にわたり日常生活・社会生活への制約がある人が対象。等級は1級・2級・3級。有効期間は2年(更新制)。
身体障害者手帳の取得手順
1. 指定医を受診
身体障害者手帳の診断書は「指定医」が書いたものでないと無効だ。整形外科・耳鼻科・眼科・内科などで、自治体の指定を受けた医師に診てもらう必要がある。指定医のリストは市区町村の障害福祉課で確認できる。
2. 診断書・意見書を書いてもらう
指定医に「身体障害者診断書・意見書」を書いてもらう。発行費用は3,000〜5,000円程度。
3. 申請書類を提出
市区町村の障害福祉課に以下を提出する。
- 身体障害者手帳交付申請書
- 身体障害者診断書・意見書
- 顔写真(縦4cm×横3cm、1枚)
- マイナンバーがわかる書類
4. 審査・等級判定
都道府県の身体障害者更生相談所で審査。1〜2か月程度かかる。
5. 手帳交付
審査終了後、市区町村から手帳交付の連絡が来る。窓口で受け取り。
療育手帳の取得手順
1. 児童相談所または知的障害者更生相談所で判定を受ける
18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所(障害者更生相談所等)で知能検査と面接を受ける。判定は無料。
2. 判定結果に基づき申請
判定で知的障害が認められれば、市区町村の障害福祉課で療育手帳の申請を行う。
3. 必要書類を提出
- 療育手帳交付申請書
- 判定書(児童相談所等から発行)
- 顔写真(縦4cm×横3cm、1枚)
- マイナンバーがわかる書類
4. 手帳交付
申請から交付まで1〜2か月程度。
精神障害者保健福祉手帳の取得手順
1. 初診から6か月経過を待つ
精神障害者保健福祉手帳の申請には、初診日から6か月以上経過していることが必要だ。発達障害の場合も同様。
2. 主治医に診断書を依頼
精神保健指定医または精神科医に「精神障害者保健福祉手帳用診断書」を書いてもらう。発行費用は3,000〜10,000円程度。
3. 必要書類を提出
- 精神障害者保健福祉手帳交付申請書
- 診断書(精神障害者保健福祉手帳用)
- 顔写真(縦4cm×横3cm、1枚)
- マイナンバーがわかる書類
- または、障害年金の年金証書のコピーで代用可能(精神障害が理由の年金の場合)
4. 審査・等級判定
都道府県の精神保健福祉センターで審査。1〜3か月程度。
5. 手帳交付
市区町村窓口で受け取り。有効期間は2年で、更新には再度診断書が必要だ。
等級判定の目安
身体障害者手帳
1級(最重度)から6級(軽度)まで。複数の障害がある場合は、合計で等級が上がる場合がある(例 4級+5級=3級扱い)。
療育手帳
知能指数(IQ)と日常生活能力の総合判定。多くの自治体でIQ50以下が最重度〜重度(A区分)、IQ51〜75が中度〜軽度(B区分)が目安。
精神障害者保健福祉手帳
1級(常時援助を要する)、2級(日常生活に著しい制限がある)、3級(日常生活または社会生活に制限がある)で判定される。
取得にかかる費用
- 身体障害者手帳の診断書代 3,000〜5,000円(保険適用外)
- 療育手帳の判定 無料(児童相談所等が公費で実施)
- 精神障害者保健福祉手帳の診断書代 3,000〜10,000円
- 申請手数料 無料
- 顔写真 数百円
診断書代は自己負担だが、その後受けられる支援を考えれば数か月で元が取れる金額だ。
手帳取得後にできること
- 所得税・住民税の障害者控除(年間4万〜10万円の節税)
- NHK受信料の全額・半額免除
- 携帯電話料金の割引
- JR・私鉄の運賃割引
- 有料道路ETC割引(50%)
- 自動車税の減免
- 医療費助成(自治体による)
- 各種公共施設の入場料割引
すべて活用すれば、月数万円〜年間数十万円の支援を受けられる。
よくある質問
手帳を持つことで不利益はあるか?
個人情報として保護されるため、本人が開示しない限り職場や周囲に知られることはない。プライバシーは守られる。
手帳を持つと就職に不利になる?
逆に「障害者雇用枠」が使えるようになり、選択肢が広がる。一般雇用と障害者雇用、両方の選択肢から自分に合った働き方を選べる。
手帳を返納したいときは?
市区町村の窓口で返納手続きが可能。任意のタイミングで返納できる。
引越したらどうすればいい?
新住所地の市区町村に住所変更届を提出する。手帳はそのまま使える。
参照する公式情報
この記事の次にやること
精神疾患で6か月以上通院している人は、主治医に「精神障害者保健福祉手帳の取得を考えている」と相談する。診断書を書いてもらえる目処が立てば、手帳取得への第一歩だ。
身体に障害がある人は、市区町村の障害福祉課で「指定医のリストをください」と言えば、最寄りの指定医療機関を教えてもらえる。
知的障害がある人(またはお子さん)は、児童相談所(18歳未満)または市区町村の障害福祉課(18歳以上)に判定の予約を入れる。